過去の記事からも学べます! 一覧に戻る
イイオンナノ作り方はイイ女から学ぶ!「行動する生き方」
Vol.7 山口 絵理子さん

バングラディシュ特産品のジュートに注目し、ファッションと社会貢献を両立するバッグ作りで起業を決意。数々の困難を乗り越え奮闘する26歳のオンナ社長。一見かわいらしい雰囲気の山口さんのぶれないポリシー、モチベーションの原動力とは?

山口 絵理子さん

―数ある発展途上国の中で、なぜアジア最貧国の一つバングラデシュを選んで行ったのですか? 現地の大学院も出られていますよね。


大学のインターン時代、ワシントンの国際機関で途上国援助の矛盾を感じたんです。援助金はどこに消えてしまうんだろうかと不思議に思ったことがたくさんあって。パソコンでアジア最貧国で検索したら、「バングラディシュ」と出てきた。自分の目で現場を見ようと現地に向かいました。それは悲惨ですよ。例えば、1日1ドルで生活している人が人口の40%もいるんです。人力車に人を乗せる仕事をするよりも物乞いをした方が儲かるし、物乞いするために親が子どもの手を切るなんてことは、現地では当たり前のことだったり。そうした現状を目の当たりにし、時間をかけて最初に感じた矛盾や疑問への答えを探そうと、日本人初の大学院生になりました。



―「自分で見たもの、聞いたものしか信じない」という信念をお持ちの山口さん。現地でさらにバングラディシュへの思いを強くされています。やはり実際に見ることは、大事だと思われますか?


私も最初は、「かわいそう」という意識だったんです。でも現地に言ってみて、「かわいそう」で終わらせてはいけない現実を見ました。様々な問題を抱えた社会の中で、「服はなくても明日も生きていこう」みたいなたくましさもあって。現地の人たちの中に眠っている可能性を感じました。

「かわいそうだ」という感覚のまま援助機関に働いていたら、20年、30年後に「なんて間違っていた人生だったんだ」と後悔したでしょう。でも実際に自分で行動を起して、見てきたことだから、自分の選択も正しいって思えるんです。自分の目で見ることが一番信じられるし、モチベーションの根拠となりますね。

山口 絵理子さん

―バングラディシュの特産品であるジュートを素材にし、現地の工場でバッグを作る。それによって、バングラディシュと日本の対等な経済活動を実現しようと起業されたんですよね。「社会貢献」という名前がついたバッグに対する、お客さんの反応はいかがですか?


最初は、途上国発ブランドというコンセプトは、なかなか受け入れてもらえませんでした。でも最近は、こうしたバッグを買うことで、「ちょっといいことができるのだったら嬉しい」という方も増えているようです。ブランド名にこだわるというよりは、製品その裏にある何かを意識して、買うお客さんが増えているんですね。ただ私は、単なるボランティア精神ではなく、ファッションというものを犠牲にしないでやりたい。それが挑戦であると思っています。

→お店の中は山口さんの支援に対する考え方である「優しさ」の木、「情熱/強さ」の赤で彩られています。


↓赤いタグには「原産国/バングラディシュ」と明記されています。


―現地の人にとって、山口さんは支援者? ビジネスパートナー?


外から見ると、バングラディシュの人の自立支援みたいに見えるのかもしれませんが、あくまでもビジネスとしてやっています。ですから、“Win-Win”の関係じゃないと成り立ちません。ボランティアでやっているのではありませんから、本当にダメなときは、ダメって言いますし。最終ゴールはお客様の満足であって、生産者の自立支援ではないんです。お客様に満足していただくためには、品質基準も相当厳しく定めていますし、不良品があればペナルティもありますし。でもその分、長く続いていくシステムのビジネスだと思っています。

スタッフのみんなも、今までは、安いものを大量生産していれば良かったので、戸惑いも大きいと思いますよ。私自身の常識は通用しないし。品質について何か言っても、「出来ないものは、出来ない。そんなにハードルの高いこと、言わないで」って感じで。出来ない、思い通りにいかないのが当たり前の毎日ですが気長に成長を待っています。



―仕事をする上で、これは、譲れないなと思うことは?


常に意識していることは、「途上国からブランドをつくるという理念」と合致しているかどうかです。いろいろな意見、たとえば「生地だけバングラディシュから輸出すればいいじゃないか」とか、「生地を輸入して中国で作った方が品質もいいし早いんじゃないか」とか。販売に関しても、「もっと価格帯の安いものを量的にさばく」ほうがビジネスとしていいんじゃないかとか。バイヤーの人たちから「メイド・イン・バングラディシュ」のタグを外したら売れるとか、いろいろ言われました。でもバングラディシュのみんなが現地で、原産の生地を使って作り、「メイド・イン・バングラディシュ」のタグをつけたものを東京で売るところに意味があるんです。そこが崩れると、マザーハウスというブランドが壊れてしまいますから。

―「バッグデザイナー」という肩書きですが、どんなデザインをされているのでしょうか。


デザインをするようになったのは、最近のことです。でも単なるデザインならデザイナーを雇えばいいわけですが、私がしなくてはいけないデザイン、私がやる意味というのをずっと探っていたんです。バングラディシュにいて、この地に思いがあって、変えたい社会がある。だったら変えたいものとか、疑問に感じることとか、社会的なメッセージを製品に落とし込もうと思って。ただ、それをどうやったらいいのかが問題で、苦戦していました。それで、この春リリースする新作のコンセプトを、2007年11月、バングラディシュを襲った「サイクロン」にしました。そういう意味では、世界のどのブランドにも負けない社会性をもっていると思いますし、この部分で戦っていかないと勝ち目はないと思っています。

―ジュートでバッグを作るにあたって苦労されたこと、工夫されたことってありますか?


素材と向かいあうことが大事ですね。ジュートでしかできない強みを活かした上でのデザインを考える必要があります。ジュートのバッグにゴージャスな金具をつけて、かちっとしたフォルムで作っても、素材を活かしているということにはなりません。ジーンズに合うようなカジュアルな感じで提案していくのがいいのではないかと思いました。ジュートという素材をよく知るということがスタートでしたね。



―これからについて


今後、自分たちの工場を作る予定ですが、託児所を設けたり、1週間に1度お医者さんに来てもらって健康診断をしたりできたらと考えています。バッグの生産・販売に関しては、生産のスピードと品質をキープしながら販売スピードをあわせていくこと。弊社の生産と販売は、車の両輪。常に生産を見ながら販売が着実に伸びていけばいなと思っています。



―バングラディシュで、ある程度の目標を達成したら、次はどうされますか?


バングラディシュでのビジネスを拡大させていくのと同時に、販売側でも、日本のみならずヨーロッパやアメリカにも社会性のあるファッションを提供し、途上国から世界に通用するブランドを普及させていきたいと思っています。



最後に。

あなたにとってイイオンナの条件は?


常に動いている人。言葉だけの人は、たくさんいますけど、自ら前に進んでいる人を尊敬するし、私もそうありたいですね。

インタビュー/文 川崎あゆみ

イイオンナノ豆知識を読む
山口 絵理子さん

PROFILE

山口絵理子(やまぐち えりこ)さん
株式会社 マザーハウス
デザイナー兼代表取締役


1981年埼玉県生まれ。慶応大学、バングラディシュBRAC大学院修了。小学校時代イジメにあい、その反動で中学で非行に走る。その後強くなりたいと高校の男子柔道部に入部。女子柔道で日本7位の成績をおさめる。偏差値40から猛勉強の末、慶応大学に合格。大学時代、インターン先のワシントン国際機関で途上国援助の矛盾を感じ、バングラディシュに渡って、日本人初の大学院生に。24歳にして、現地の特産品ジュートを使ったバッグを現地で生産し、日本で輸入販売する「株式会社マザーハウス」を設立。


株式会社 マザーハウス
http://www.mother-house.jp/

このページのTOPへ
  • だから私は決めました。カシコニ決メタワケ。
  • 実際使ってみてどう?ワタシノカシコ。

オンナノシゴト向上委員会